2018年10月20日土曜日

ドイツのフットサル代表に関する記事を訳してみる(日本戦に際して)

ドイツにおいてサッカーはとても人気ですが、フットサルはその存在すら知らないと言う人も多いという印象があります。
来週日本とのフレンドリーマッチを控えたフットサルドイツ代表に関する、RP ONLINEに掲載されたPhillip Oldenburgの記事を訳していきます。
ドイツフットサル代表には日本人の父を持つジロウ・ヒロサワ選手も選出されており、彼へのインタビューが記事の多くを占めています。
もとの記事は2018年10月19日に公開された、Noch wird die Futsal-Nationalmannschaft nicht an Ergebnissen gemessen というタイトルです。

Noch wird die Futsal-Nationalmannschaft nicht an Ergebnissen gemessen

フットサル代表を結果ではまだ評価してはいけない


デュッセルドルフ フットサルドイツ代表がデュッセルドルフにやってくる。金曜日(10月26日、17時から)Castelloにて日本と対戦するドイツ代表。アジアの強豪との試合はある選手にとって特別なものになるに違いない。

フットサルの世界においてドイツは遅れてやってきた存在だ。それは結果を見ても明らかである。直近の10試合、マルセル・ルースフェルト率いるチームが挙げたのは僅か1勝。しかし成績が芳しくないにもかかわらず、批判は起きていない。今はまだ結果はさほど重要ではないからだ。「試合毎にパフォーマンスを高め、チームが成長し続けることが重要です」とルースフェルト監督は就任直後に語った。2017年の2月よりパウル・ショーンマンから監督職を引き継いだこのオランダ人監督はドイツフットサルを発展させてくれると期待されている。
フットサル("futebol de salão")とは、FIFAの公式な室内サッカー競技形式である。低反発かつ小さなボールを用い、プレーのテンポが速く、高いテクニックが求められる。しかしながら、ドイツにおけるフットサルは、長い間ドイツサッカー連盟(DFB)からあまり注目されてこなかった。フットサルの世界においてドイツはほぼ存在しないものとして、あるいは発展途上にあると考えられている。DFBが考えを改めたのは2015年の終わり、フットサルの代表チームが結成されたときのことである。金曜日(10月26日、17時からSport1にて中継)デュッセルドルフで日本との試合が行われるが、力の差は歴然としている。ドイツはFIFAランク67位とモザンビーク(48位)やレバノン(39位)、アゼルバイジャン(11位)の後塵を拝する。日本は現在16位に位置する。しかしながら、若いドイツ代表チームが次なる発展を成し遂げるためには、まさに今回のような試合が必要となる。ルースフェルト監督は「フットサルの強豪国との試合で私達の力を試す、そうすることによってのみ、成長することができる」と語っている。
選手たちも、結果が出ていないことをマイナスに考えてはいない。「結果は確かに厳しいものです。ですが、結果は結果として受け止め、そこから何かを学ぶことが一番大事になります」とジロウ・ヒロサワは語ってくれた。26歳のヒロサワは2018年の3月、デンマーク戦(結果は2−3)で代表デビューを飾った。それ以来、代表のユニフォームを着て戦った試合は4試合になる(ゴールは0)。日本との試合にもヒロサワはメンバーに入っている。日本人の父とドイツ人の母を持つ彼にとって日本戦は特別なものになることは間違いない。
「デュッセルドルフで行われる試合には家族が皆来てくれます」と語るヒロサワは、ノルトライン・ヴェストファーレン州の州都に多くの日本のファンが来ることも望んでいる。「日本の人はスポーツに対する熱量がすごい。フットサルの人気もとても高いです」と彼は言いきる。それもそのはず、ドイツスポーツ大学ケルンで学ぶこのヘッセン出身の選手は、2017年の1月から10月まで日本で暮らし、東京で子どもたちにサッカーを教えていた。卒業後は更に長い期間日本に滞在することも考えている。彼が言うには、日本語はまだ流暢に話すことはできないが、勉強しているという。父親の母国との試合にドイツ代表として出場することになれば、これ以上なく誇りに感じることだろう。
フットサル・パンターズ・ケルンでフットサルをプレーするようになって6年。ヒロサワがフットサルボールに初めて触ったのは大学のフットサルサークルでのことだった。小さなフィールドでの5対5、周りに壁がなく(訳者注:ドイツではハレンフースバルという周りを壁に囲まれたフィールドでプレーする室内サッカーが長く親しまれてきた)、プレーは途切れることがない。左利きのヒロサワは、テンポが速くテクニックの求められるこの競技にすぐさま魅了された。「単純にボールを触る回数が非常に多く、息をつくまもなく、常に集中していなければいけません」と語気を強める。「フットサルはゴール前での展開が多く、何も起こらない時間帯は殆どありません。それがフットサルの魅力です。観客の方にもとても面白いと思います。」
他の多くの選手と同様に、フットサルに100%集中するためサッカーはもうやっていない。フットサルをして給料をもらっているわけではない。しかし、少なくともアスリートとしては、彼がやってきたことは報われたと言える。パンターズでは年々成長を遂げ、今ではキープレーヤーとなった。代表入りも果たし、昨年クラブはドイツ2位の成績を残した。
「今ある物事が始まったときのことを考えると、とても感慨深いものがあります」とヒロサワは振り返る。DFBの哲学と取り組み方を見れば、フットサルに本気であることがわかる。フットサルは発展を続けており、よりプロフェッショナルなものになりつつある。日本との一戦も、その発展を小さく、しかしながら、更に一歩前へと進めるものとなるだろう。おそらく、試合が終わったとき結果が伴わなかったとしても。

Info

フットサルドイツ代表
監督: マルセル・ルースフェルト
世界ランク: 67位
国際試合数: 15
通算成績: 3勝、2分、10敗
通算得失点: 39得点:72失点
最多出場選手: ティモ・ハインツェ
最多得点選手: ティモ・ハインツェ、ティモ・ディ・ジョルジオ(6得点)

(終わり)

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